■alt.web展 開催のお知らせ (3/21木→23土) ---------------------------------------------------------------------- ■alt.web展 開催のお知らせ このたび国際メディア研究財団では、インターネット上の情報表現の 新しい可能性を探る「alt.web展」を開催することとなりました。 私たちは普段なにげなく、Webブラウザを使ってインターネットにアクセス しています。そこで見るWebページは、いつも同じようにWebブラウザの中に 存在しているように見えるかもしれません。しかし実は、インターネットに ある情報とはただの素材でしかないのです。 ここでは、Webに存在する情報を、普通のWebブラウザとはまったく異なった 方法により表現しています。一つのWebブラウザから見る世界とは違った、 より豊かなインターネット上の情報表現のありかたが見えてくるかもしれません。 ありえたかもしれない可能性としてのもう一つのWebを、どうぞお楽しみください。 ■作品説明 ●江渡 浩一郎「Living Web Browser」 Web上の情報から生成された動的な形より構成されるWebブラウザ。 普段Webブラウザで見ている画面上の要素が、抽象的な形や動きへと 変換され、画面上を自律的に動きはじめる。 会場では、自分が好きなホームページを見てみることができる。 元々論文の表象として作られたHTMLが持つ論理的な構造を、逆に 直観的な形式、例えばカンディンスキーの絵のような方法で表現している。 一つのWebページから、あなたの操作によって様々な表現が生まれていく。 ●杉原 聡「東京ローカルWeb景:The Air Side of Web Site」 東京の町の風景にうめこまれたWebページを見渡すブラウザ。会場の 天井から吊された液晶ディスプレイを回転させることにより、東京の ある地点から見た360度の風景を見渡すことができる。その風景には、 実際にサーバが存在するであろう場所に浮かんだ、Webページが映しだされる。 そこには、これまでのWebブラウザを通して想像するネットワークの風景と は異なった風景が広がる。日常的に歩いている町の風景を通して見るWebは、 ネットワークのスケールを、自分の身体や生活のスケールに基づいて感じ させる。都市の表面に浮かびあがるWebページは、そこで行われている様々 な人々の活動を知覚させる。 ■日時: 2002年 3月21(木)〜3月23(土) 11:00am〜6:00pm 3月22(金) 6:00pm〜8:00pm にレセプションを予定しております。 レセプションへの参加を希望される方は、展覧会ホームページをご覧ください。 → http://alt.web.imrf.jp/ ■会場: EX'REALM B1F イベントスペース 150-0001渋谷区神宮前1-12-6 tel.03 5770 2771 →ホームページ上に地図を掲載しております。 主催: 国際メディア研究財団 Tel: 03-5411-9192 URL: http://alt.web.imrf.jp/ e-mail: alt.web@imrf.jp 展示協力: 細谷多聞 武藤努 ---------------------------------------------------------------------- ■作品コンセプト説明 ■Living Web Browser Living Web Browserは、Web上にある情報を抽象的な形態や動きによって表 現するWebブラウザである。World Wide Webは約12年前、Tim Berners-Leeに よって、科学者の間の情報共有システムとして開発された。そこで共有され るべき情報とは、端的には論文のことだった。このことはWebページを記述 するための言語HTMLに大きな影響を及ぼした。論文は明示的な参照によって 過去の成果へとリンクされるためWebが論文の共有システムとして始まった のは自然なことだった。しかしWebが一般の人へと拡大していくにつれ、Web ページの持つ役割は変わっていった。そこで必要とされる情報は、常に論文 のような論理的な構造を持っているとは限らず、むしろ視覚的・直感的に意 味を伝えることもある。私はここで、ありえたかもしれないもう一つの World Wide Webについて想像してみた。そこで考えだされたWebページは、 論文ではなくマラルメの詩やカンディンスキーによる絵画を表象するために 作られた。もしこのような世界が存在していたら、Webはいったいどのよう な発展を遂げていただろうか。 ■江渡浩一郎 [えとこういちろう] 1971年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。在学中より インターネットを用いた作品制作を行う。IC'95 on the Webにて 「RealPanopticon」(1995)を発表。sensorium プロジェクトにて 「WebHopper」(1996)を制作。sensoriumは1997年ArsElectronica .net部門 Golden Nica賞を受賞した。岩井俊雄×坂本龍一のコンサートMPIXIPMにて 「RemotePiano」(1996)を発表。Canon ARTLABとの共同制作 「SoundCreatures」(1998)を発表。「SoundCreatures」は1999年 ArsElectronica Honorary Mentionを受賞。同Festivalにて再展示を行う。 日本科学未来館「インターネット物理モデル」(2001) の制作に参加。 現在、国際メディア研究財団研究員。 ■東京ローカルWeb景: The Air Side of Web Site 東京の町の風景にうめこまれたWebページを見渡すブラウザ。天井から吊さ れた液晶ディスプレイを回転させることにより、東京のある地点から見た 360度の風景を見渡すことができる。その風景には、実際にサーバが存在す るであろう場所に浮かんだ、Webページが映しだされる。そこには、これま でのWebブラウザを通して想像するネットワークの風景とは異なった風景が 広がる。町や都市の風景の中に立ちならぶ建物が、そこに何らかの人間の営 みがあることを表現しているように、Webページもまたそこに確かな人の営 みがあることを表現する。Webページは、人間が生み出したものとしてそこ に確かに存在すると同時に、例えば町中の建物から吹き出しが現れてその内 部を語り出すように、そこに生きる人々の活動を伝え始める。また、日常的 に歩いている町の風景を通して見るWebは、人間の身体にくらべて遥かに巨 大なネットワークのスケールを、ほんの一端ながらも、見渡せる範囲で直感 的に感じとることができる。 ■杉原聡 [すぎはらさとる] 1977年生まれ。東京工業大学情報理工学研究科修士課程修了。人工知能の研 究を行う。日本科学未来館「インターネット物理モデル」(2001)では、プロ トタイプ制作、シミュレーション制作など、制作全般に関わる。ICC 信用ゲー ム展にて、東泉一郎「仕事スケール#GTV/M1」(2001)のプログラミング・ディ レクションを担当する。現在、国際メディア研究財団研究アシスタント及び 東京芸術大学美術学部先端芸術表現科非常勤講師。 ----------------------------------------------------------------------