art.bit collection 「アート.ビット コレクション展」

<芸術作品のことを英語で、「art piece」と呼ぶことがありますが、これは作品の 
物質的側面から発想された言葉であり、“もの”ではないソフトウエア上の芸術作品 
には、あてはまらないのではないでしょうか、そこで「piece」を「bit」というデジ 
タルを表す単語に変えることで、物質性を持たない芸術作品を「art bit」と呼んで 
みることにしました。>

 NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]では、開館5周年を迎えた本年、 
メディア・アートの領域における表現媒体の基盤とも言える「ソフトウエア」のコン 
ディションを再確認するための企画を連続で行います。世界中から収集した、約40点 
の作品を展示し、作者を招いたシンポジウムやソフトウエアを使ったワークショップ 
を行います。
 ソフトウエアがコンピュータを動かしていることは、誰でも知っていることだと思 
います。ところが、実際にコンピュータの中で、ソフトウエアが何をしているのか知 
ることは、難しいことです。中身が見えないだけに、例えば自動車のボンネットを開 
けて、エンジンの仕組みを理解するようにはいかないのです。しかし、ソフトウエア 
を、自動車を改造するように、改造することができれば、きっと何かおもしろい“も 
の”ができるかも知れません。
 ソフトウエアの持つ可能性を理解し、これを表現の媒体、道具、環境、素材として 
扱って行くことは可能でしょうか。ソフトウエアを創造の基盤とした場合には、どう 
いった表現が生まれて行くのでしょうか。今回の企画展では、こうしたソフトウエア 
に果敢に挑戦しているアーティストの作品や、ヴィジュアル・プログラミングと呼ば 
れる、ソフトウエアを目に見えるものに変える情報科学分野の紹介などを行ないなが 
ら、ソフトウエアの持つさまざまな可能性について考えて行きます。
 また、コンピュータに初めて触れる小中学生や一般の方々にも、プログラミングの 
楽しさを体験していただけるワークショップを「プログラミング・デー」として開催 
します。

会期:2002年6月21日(金)― 8月11日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA、B
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階 京王新線初台駅東口から 
徒歩2分
開館時間:10:00am ― 6:00pm(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日、8月4日(日)
入場料:一般800(600)円、大高生600(450)円、中小生以下は無料
*( )内は15名様以上の団体料金 *ギャラリーBでのシンポジウム、ワークショ 
ップなどは無料
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
企画:藤幡正樹(メディア・アーティスト/東京藝術大学教授)、江渡浩一郎(メデ 
ィア・アーティスト/財団法人国際メディア研究財団研究員)
企画協力:四方幸子(キュレーター/東京造形大学特任教授)
協力:財団法人国際メディア研究財団、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科
お問い合わせ:フリーダイヤル 0120-144199
E-mail:query@ntticc.or.jp
URL:http://www.ntticc.or.jp/
展覧会専用URL:http://www.art-bit.jp/


■主な展示作品

《Sodaplay》 エド・バートン(イギリス)
線と点で表現された生き物(モデル)が、コンピュータの画面の中を歩き回っていま 
す。物理法則も計算できるので、重力や摩擦の係数を変えると宙に浮いたまま脚をバ 
タバタさせたりします。モデルを自分でデザインすることもでき、でき上がったモデ 
ルをSodaの動物園(ウェブ)に送り戻すこともできます。ウェブの開設以来、世界中 
より送られたモデルから選りすぐられた約3,000点の作品を、Soda動物園で見ること 
ができます。

《AgentSheets》 アレクサンダー・レピニング(アメリカ)
《ToonTalk》 ケン・カーン(アメリカ)
ヴィジュアル・プログラミング言語と呼ばれる分野のソフトウエアですが、いわゆる 
コンピュータ言語のような言葉が中心ではなく、視覚的な対象物の順番を入れ替えた 
りコンピュータ内のキャラクターを操作することで、コンピュータに作業を行わせる 
ことが可能です。これがコンピュータ・プログラミングであるということを、忘れて 
しまうような体験をすることになるでしょう。

《Mosaic*など、いろいろなウェブ・ブラウザ》
現在もっとも身近なソフトウエアと言える、ウェブ・ブラウザのさまざまなヴァリエ 
ーションを列べます。 Internet Explorer**やNetscape Navigator***以前の歴史的 
なウェブ・ブラウザや、アーティストの作成した不思議なウェブ・ブラウザに触れる 
ことができます。これらで自分のホームページにアクセスしてみると、普段とは違っ 
た形で見えることでしょう。

《Web Hopper》 センソリウム(日本)
ネットワーク上を流れていくウェブへのアクセスを可視化する作品です。例えばあな 
たがICCから外国に設置してあるウェブ・サーヴァーにアクセスすると、世界地図上 
にその信号の軌跡が、リアルタイムに表示されます。インターネットに初めて繋いだ 
時の「世界につながった!」という感動を、視覚的に再体験させてくれるものです。

■以下7つのカテゴリーにより、合計およそ40作品が展示されます。

「Visual Programming Environment(視覚的コンピュータ・プログラミング環境)」

いわゆる言語を用いたコンピュータ・プログラミングとは異なった視覚を中心にした 
プログラミング環境。コンピュータ言語を知らなくても、スクリーン上の物体に触れ 
て、それを並べ替えたりすることで、プログラムを作ったり、コンピュータに何かを 
させたりすることが可能になります。

「Media Programming Environment(音や映像を扱うプログラミング環境)」

音や映像を取り込んだり、作りだしたり、再構成するためのソフトウエア環境。ここ 
でのコンピュータは、様々なメディアを結合するメタメディアとして機能します。

「CommunityWare(人と人をつなぐためのソフトウエア)」

コミュニケーションのメディアとして、人と人をつなぎコミュニティーを生み出すた 
めのソフトウエア。今回は、ワークショップとともに紹介します。

「Virtual Environment(仮想現実環境のソフトウエア)」

コンピュータの中に仮想的な環境とそこに生きる生き物を作り出します。来館者は、 
自分の生き物を作って残して行くことができます。

「Web Browser historical view and alternatives(ウェブ・ブラウザの歴史と、ち 
ょっと違ったブラウザ)」

ウェブ・ブラウザの発展の歴史をひもとくと、見慣れぬ面白そうなウェブ・ブラウザ 
がいくつもあったことに気がつきます。それらのさまざまな創意と工夫を紹介し、ま 
たアーティストの驚くような発想によるウェブ・ブラウザも展示します。

「Behind the Network(ネットワークの裏側)」

普段私たちが使っているネットワークの背後には、表示されている以上の情報が含ま 
れています。それらネットワーク上の情報の流れを、可視化させるとどうなるでしょ 
うか。そうした好奇心を満足させようとするソフトウエアです。

「NoiseWare - deconstructing desktop and application(アプリケーションやデス 
クトップを疑う)」

見慣れた表層としてのコンピュータ・スクリーンをその根本から疑い、そこにさまざ 
まな形で、ノイズを混入させること、あるいは破壊し再構築することなど、最もアー 
ティストらしいソフトウエアへのアプローチを、ここで見ることができます。

■関連イヴェント:シンポジウム、ワークショップなど

オープニング・シンポジウム「“アート.ビット コレクション”によせて」
6月22日(土) 午後2時より ギャラリーBにて
パネラー:エド・バートン(出品作家)/藤幡正樹/江渡浩一郎/四方幸子

※その他にも、会期中にシンポジウム/ワークショップ/パフォーマンスなどを、多 
数予定しています。詳しくはホームページでご確認下さい。

*NCSA Mosaic(TM) is proprietary trademark of the University of Illinois.
**Netscape Navigator(R)は、Netscape Communications Corporationの米国及びその 
他の国における登録商標です。
***Microsoft(R) Internet Explorer
その他、記載された商品名及び会社名はそれぞれ各社の商標または登録商標です。