art.bit collection, 2002年6月21日〜8月11日 @ ICC

This is a page for the exhibition "Art.Bit Collection".
Japanese / English
home page at ICC, press release

art.bit collection 「アート.ビット コレクション展」

NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]では、開館5周年を迎え た本年、メディア・アートの領域における表現媒体の基盤とも言える「ソフ トウエア」のコンディションを再確認するための企画を連続で行います。世 界中から収集した、約40点の作品を展示し、作者を招いたシンポジウムやソ フトウエアを使ったワークショップを行います。

ソフトウエアがコンピュータを動かしていることは、誰でも知っている ことだと思います。ところが、実際にコンピュータの中で、ソフトウエアが 何をしているのか知ることは、難しいことです。中身が見えないだけに、例 えば自動車のボンネットを開けて、エンジンの仕組みを理解するようにはい かないのです。しかし、ソフトウエアを、自動車を改造するように、改造す ることができれば、きっと何かおもしろい“もの”ができるかも知れません。

ソフトウエアの持つ可能性を理解し、これを表現の媒体、道具、環境、 素材として扱って行くことは可能でしょうか。ソフトウエアを創造の基盤と した場合には、どういった表現が生まれて行くのでしょうか。今回の企画展 では、こうしたソフトウエアに果敢に挑戦しているアーティストの作品や、 ヴィジュアル・プログラミングと呼ばれる、ソフトウエアを目に見えるもの に変える情報科学分野の紹介などを行ないながら、ソフトウエアの持つさま ざまな可能性について考えて行きます。

また、コンピュータに初めて触れる小中学生や一般の方々にも、プログ ラミングの楽しさを体験していただけるワークショップを「プログラミング・ デー」として開催します。

■主な展示作品

《Sodaplay》 エド・バートン(イギリス)
線と点で表現された生き物(モデル)が、コンピュータの画面の中を歩き回っていま 
す。物理法則も計算できるので、重力や摩擦の係数を変えると宙に浮いたまま脚をバ 
タバタさせたりします。モデルを自分でデザインすることもでき、でき上がったモデ 
ルをSodaの動物園(ウェブ)に送り戻すこともできます。ウェブの開設以来、世界中 
より送られたモデルから選りすぐられた約3,000点の作品を、Soda動物園で見ること 
ができます。

《AgentSheets》 アレクサンダー・リペニング(アメリカ)
《ToonTalk》 ケン・カーン(アメリカ)
ヴィジュアル・プログラミング言語と呼ばれる分野のソフトウエアですが、いわゆる 
コンピュータ言語のような言葉が中心ではなく、視覚的な対象物の順番を入れ替えた 
りコンピュータ内のキャラクターを操作することで、コンピュータに作業を行わせる 
ことが可能です。これがコンピュータ・プログラミングであるということを、忘れて 
しまうような体験をすることになるでしょう。

《Mosaic*など、いろいろなウェブ・ブラウザ》
現在もっとも身近なソフトウエアと言える、ウェブ・ブラウザのさまざまなヴァリエ 
ーションを列べます。 Internet Explorer**やNetscape Navigator***以前の歴史的 
なウェブ・ブラウザや、アーティストの作成した不思議なウェブ・ブラウザに触れる 
ことができます。これらで自分のホームページにアクセスしてみると、普段とは違っ 
た形で見えることでしょう。

《Web Hopper》 センソリウム(日本)
ネットワーク上を流れていくウェブへのアクセスを可視化する作品です。例えばあな 
たがICCから外国に設置してあるウェブ・サーヴァーにアクセスすると、世界地図上 
にその信号の軌跡が、リアルタイムに表示されます。インターネットに初めて繋いだ 
時の「世界につながった!」という感動を、視覚的に再体験させてくれるものです。

*NCSA Mosaic(TM) is proprietary trademark of the University of Illinois.
**Netscape Navigator(R)は、Netscape Communications Corporationの米国及びその 
他の国における登録商標です。
***Microsoft(R) Internet Explorer
その他、記載された商品名及び会社名はそれぞれ各社の商標または登録商標です。

■展示カテゴリーおよび作品説明

→以下7つのカテゴリーにより、合計およそ40作品が展示されます。

「Visual Programming Environment(視覚的コンピュータ・プログラミング環境)」
いわゆる言語を用いたコンピュータ・プログラミングとは異なった視覚を中心にした 
プログラミング環境。コンピュータ言語を知らなくても、スクリーン上の物体に触れ 
て、それを並べ替えたりすることで、プログラムを作ったり、コンピュータに何かを 
させたりすることが可能になります。
- AgentSheets, Alexander Repenning  (U.S.A. 1989)
- ToonTalk, Ken Kahn  (U.S.A.)
- 3D-Visulan, Kakuya Yamamoto  (Japan)
- PaneKit, Kuniaki Watanabe  (PlayStation, Japan 1999)
- MindRover, CogniToy  (U.S.A. 2000)
- drawing blocks, Yumiko Tanaka  (Japan 2000)
- ColorFL, Satoru Sugihara (Japan 2002)

「Media Programming Environment(音や映像を扱うプログラミング環境)」
音や映像を取り込んだり、作りだしたり、再構成するためのソフトウエア環境。ここ 
でのコンピュータは、様々なメディアを結合するメタメディアとして機能します。
- MAX/MSP, Miller Puckette and David Zicarelli  (France)
- GeoMaestro, Stephane Rollandin  (France 2000)
 on KeyKit, Tim Thompson  (U.S.A.)
- OpenMusic  (France)
- nato, Netochka Nezvanova (nSk state 1999-2000)
- BigEye, Steim  (Netherland)

「CommunityWare(人と人をつなぐためのソフトウエア)」
コミュニケーションのメディアとして、人と人をつなぎコミュニティーを生み出すた 
めのソフトウエア。今回は、ワークショップとともに紹介します。
- Linker, Graham Harwood  (U.K.)

「Virtual Environment(仮想現実環境のソフトウエア)」
コンピュータの中に仮想的な環境とそこに生きる生き物を作り出します。来館者は、 
自分の生き物を作って残して行くことができます。
- sodaplay, sodaconstructor, sodarace (projector(3screens), table) (U.K.)
- Rogue, Michael Toy, Glenn Wichman, Ken Arnold (U.S.A. 1980)
+ Rog-O-Matic, Michael Mauldin, Andrew Appel, Guy Jacobson, Leonard Hamey (U.S.A. 1984)
- Sand, Kenichirou Shii (Japan)

「Web Browser historical view and alternatives(ウェブ・ブラウザの歴史と、ち 
ょっと違ったブラウザ)」
ウェブ・ブラウザの発展の歴史をひもとくと、見慣れぬ面白そうなウェブ・ブラウザ 
がいくつもあったことに気がつきます。それらのさまざまな創意と工夫を紹介し、ま 
たアーティストの驚くような発想によるウェブ・ブラウザも展示します。
- WorldWideWeb, Tim Berners-Lee (Switzerland 1990)
- Mosaic, Marc Andreesen, Eric Bina (U.S.A. 1993)
- Netscape, Marc Andreesen, Eric Bina(U.S.A. 1995)
- Amaya, W3C ()
- I/O/D 4: The Web Stalker, I/O/D (U.K. 1997)
- BurroughsWeb, Kouichirou Eto (Japan 2002)
- ResourceHanger+, doubleNegatives (Japan 2002)

「Behind the Network(ネットワークの裏側)」
普段私たちが使っているネットワークの背後には、表示されている以上の情報が含ま 
れています。それらネットワーク上の情報の流れを、可視化させるとどうなるでしょ 
うか。そうした好奇心を満足させようとするソフトウエアです。
- tcpdump, Van Jacobson  (U.S.A 1988)
- WebHopper, sensorium  (Japan 1996)
- plaNet Former, doubleNegatives  (Japan 2001)
- Carnivore, RSG  (U.S.A. 2001)
- Tokyo Local Webscape, Satoru Sugihara  (Japan 2002)

「NoiseWare - deconstructing desktop and application(アプリケーションやデス 
クトップを疑う)」
見慣れた表層としてのコンピュータ・スクリーンをその根本から疑い、そこにさまざ 
まな形で、ノイズを混入させること、あるいは破壊し再構築することなど、最もアー 
ティストらしいソフトウエアへのアプローチを、ここで見ることができます。
- OSS, JODI  ()
- SOD, JODI  ()
- CO.JP browser, JODI  (2002)
- Auto-Illustrator, Adrian Ward  (U.K. 2001)
- Autoshop, Adrian Ward  (U.K. 1999)
- TraceNoizer, LAN  (Switzerland 2001)
- DISCODER, exonemo  (Japan 1999)
- FMS, exonemo  (Japan 2000)
- LivingWebBrowser, Kouichirou Eto  (Japan 2002)

■関連イヴェント:シンポジウム、ワークショップなど

→イベント日時は変更となる場合がありますので、適宜ご確認下さい。

■アート.ビット コレクション展 イベントのご案内
アート.ビット コレクション展会期中にシンポジウム/ワークショップ/
パフォーマンスなどを開催いたします。いずれのプログラムも入場無料です。
(事前登録が必要なプログラムもあります。)
(展示をご覧になる際には入場料が必要です。一般800円、大高生600円、中学生以下は無料)

●オープニング・シンポジウム
「"アート.ビット コレクション"によせて」(インターネット中継あり)
パネリスト:エドワード・バートン(Sodaplay作者)、藤幡正樹、江渡浩一郎、四方幸子
日時:2002年6月22日(土)14:00開演(17:30終了予定)
会場:ギャラリーB
定員:100名(先着順)

●プログラミング・デイ
「体験、ヴィジュアル・プログラミング.1――エージェントシート・ワークショップ」
日時:6月29日(土)10:00〜16:00
会場:ギャラリーB
対象:11才〜15才 (小学5年〜中学3年)
定員:20名
インストラクター:アレクサンダー・リペニング(エージェントシート作者)
協力:株式会社PFU
*事前の登録が必要です。

[参加者募集]
展示作品の一つであるヴィジュアル・プログラミング環境「エージェントシー
ト」を使ったワークショップです。単純なルールを記述していくことにより、
ゲームやシミュレーションを作っていきます。コンピュータやプログラムに
興味がある、小中学生のワークショップ参加者を募集中です。希望者は以下
のページより申し込み下さい。(希望者多数の場合は抽選とさせていただきます。)
home page at ICC

●シンポジウム「ヴィジュアル・プログラミング」(インターネット中継あり)
パネリスト:アレクサンダー・リペニング(エージェントシート作者),
ケン・カーン(トゥーントーク作者),佐藤雅彦(慶應大学環境情報学部教授),藤幡正樹
日時:2002年6月30日(日)14:00開演(17:30終了予定)
会場:ギャラリーB
定員:100名(先着順)

●プログラミング・デイ
「体験、ヴィジュアル・プログラミング.2――トゥーントーク・ワークショップ」
日時:7月6日(土)、7月7日(日)10:00〜16:00
*2日間のワークショップです。両日ともの参加が必要です。
会場:ギャラリーB
対象:11才〜15才 (小学5年〜中学3年)
定員:20名
アドバイザー:ケン・カーン(トゥーントーク作者)
企画・制作:慶應義塾大学環境情報学部大岩研究室
インストラクター:松澤芳昭(慶應義塾大学環境情報学部大岩研究室)ほか
協力:株式会社デジタルコンセント、株式会社内田洋行教育システム事業部
*事前の登録が必要です。

[参加者募集]
展示作品「トゥーントーク」を使用するヴィジュアル・プログラムのワーク
ショップ第2弾です。ロールプレイングゲームのような世界の中に、プログ
ラミングのルールが隠されています。ゲームをプレイするように、自然とプ
ログラミングの世界に触れることができます。コンピュータやプログラムに
興味がある、小中学生のワークショップ参加者を募集中です。希望者は以下
のページより申し込み下さい。(希望者多数の場合は抽選とさせていただきます。)
home page at ICC

●シンポジウム「プログラミングと脱コンテクスト化」(インターネット中継あり)
パネリスト:JODI,フローリアン・クレーマー, LAN, 江渡浩一郎,四方幸子
日時:2002年7月13日(土)13:00開演(17:30終了予定) 
会場:ギャラリーB
定員:100名(先着順)

●プログラミング・デイ「パネキット」
講演者:渡辺訓章(パネキット作者)
日時:2002年7月14日(日)14:00開演(16:00終了予定) 
会場:ギャラリーB
定員:100名(先着順)

●パフォーマンス「プログラミング・ミュージック」(インターネット中継あり)
出演:ステファヌ・ロランディン,三輪眞弘,曽我部清典,古川聖
日時:2002年7月21日(日)開始時間未定
会場:ギャラリーB
定員:100名(先着順)
Visual Programming Environment
- AgentSheets, Alexander Repenning (Win)
シートの上に自律的なエージェントを列べてプログラミングをする。
Lego Mindstormに付属するプログラミング環境のもとになった。
- ToonTalk, Ken Kahn (Win)
クレイアニメ状の環境の中に物体を配置していくことによりプログラミングをする。
環境そのものがオブジェクト指向的に構築されている。
この世界では、数字の「1」と「1」を重ねて金槌で叩くと、数字の「2」になったりする。
- 3D-Visulan, Kakuya Yamamoto (Win)
AならばBというルールを目に見える形で列記していき、プログラミングをする。
これだけのルールで、インベーダーゲームまでもが実現されている。
- PaneKit, susami, Kuniaki Watanabe (PlayStation, 1999)
タイヤやエンジンといった様々な機能を持つパネルを画面上で接続していくことにより、
モデルを組み立てる。空気抵抗や重力といった物理環境が実現されている。
プレイステーション用のゲーム。
- MindRover, CogniToy (Win, 2000)
画面上でセンサー、ルール、アクチュエイターなどを接続していくことにより
車の動作をコントロールする。そこで作ったプログラムをLegoMindstormに
落とすこともできる。
- Drawing Blocks, Yumiko Tanaka (Java)
三次元の環境でブロックを積み重ねていくことにより、二次元の動画をコントロールする。
それぞれのブロックには色ごとに、動きや形の変化情報が含まれている。
- untitled, Satoru Sugihara (Linux, 2002)
様々な色の要素をプログラミングの命令に見立て、色でプログラミングする。
会期:2002年6月21日(金)― 8月11日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA、B
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階 京王新線初台駅東口から徒歩2分
開館時間:10:00am ― 6:00pm(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日、8月4日(日)
入場料:一般800(600)円、大高生600(450)円、中小生以下は無料
*( )内は15名様以上の団体料金 *ギャラリーBでのシンポジウム、ワークショップなどは無料
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
企画:藤幡正樹(メディア・アーティスト/東京藝術大学教授)、江渡浩一郎(メディア・
アーティスト/財団法人国際メディア研究財団研究員)
企画協力:四方幸子(キュレーター/東京造形大学特任教授)
協力:財団法人国際メディア研究財団、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科
お問い合わせ:フリーダイヤル 0120-144199
E-mail:query@ntticc.or.jp
URL:http://www.ntticc.or.jp/
展覧会専用URL:http://www.art-bit.jp/

■紹介記事

Kouichirou ETO, Media Artist, Researcher (mail: 2002 at eto.com)